発展:注目する遺伝子を調べる

実行環境手元のPC(ブラウザー・テキストエディター)/ SSH 接続先の Linux(BLAST+)
前提菌種の開示後で、DFASTのannotation.zipを保存・Linuxへ転送し、Racon後のFASTAを作成していること

菌種の開示後に取り組む追加課題です。DFASTで候補の注釈を確認し、既知のタンパク質配列をRacon後のゲノムに照合します。

菌種の開示後に開く

1. 論文で確かめられたことを読む

元のゲノム論文では、染色体1本とプラスミド6本の完全配列を決定しました(Fuhrenら(2021))。

同じ菌株の関連論文では、イヌリンを分解するβ-フルクトシダーゼ「FosE」をコードする fosE の機能を実験で調べています。fosE は約48.8 kbのプラスミド上にあります。イヌリンを利用できない菌株NC8に導入すると、イヌリンを利用して増殖できるようになりました。機能解析:Fuhrenら(2021)。実際に、組み立てたゲノム配列から、fosE 遺伝子の配列を探してみましょう。

2. DFASTの注釈で候補を探す

手元のPCにダウンロードした annotation.zip を解凍し、GenBank形式の結果をテキストエディター (メモ帳など) で開いて、機能注釈の fructosidase を検索します。

3. 公開タンパク質配列を準備する

NCBI Proteinで QRQ99331.1 を検索し、アクセッションと版を確認してFASTA形式で手元のPCに保存します。これは公開ゲノム上で候補に対応する配列であり、注釈名だけでFosEの機能を確定するものではありません。保存したファイルを fosE-reference.faa という名前にします。

手元のPCのターミナルから、FASTAをSSH接続先のLinuxへ転送します。"./SAVE_PATH/fosE-reference.faa" を、実際の保存場所に合わせて変更してください。

scp -P PORT "./SAVE_PATH/fosE-reference.faa" USER@HOST:/home/bsjinzai/results/annotation/

4. Local BLASTでRacon後の配列を調べる

SSH接続先のLinuxでBLAST+を導入します。tblastn はタンパク質配列を問い合わせにして、塩基配列を翻訳しながら一致する領域を探します。DFASTで遺伝子として予測されなかった領域も調べられます。

cd /home/bsjinzai
conda activate wgs-long
conda install -c conda-forge -c bioconda blast
mkdir -p results/gene-study
makeblastdb -in results/nanopore.racon.fasta -dbtype nucl -parse_seqids -out results/gene-study/racon-db
tblastn -query results/annotation/fosE-reference.faa -db results/gene-study/racon-db \
  -num_threads 4 -evalue 1e-5 \
  -outfmt "7 qseqid sseqid pident qcovhsp sstart send sframe evalue bitscore" \
  -out results/gene-study/fosE-hits.tsv
head -n 25 results/gene-study/fosE-hits.tsv

-outfmt 7 は各列の名前とヒットを results/gene-study/fosE-hits.tsv に保存します。

5. ヒットとDFASTの注釈を照らし合わせる

fosE-hits.tsv の sseqid はヒットした配列、sstart・send はその座標、sframe は読み枠です。pident は一致率、qcovhsp は1つの一致領域が問い合わせ配列を覆う割合、evalue は偶然の一致として得られる期待値です。DFASTのGenBank結果で見た位置・注釈と比べます。DFAST側の配列名が元のFASTAと異なる場合は、名前だけで同じ配列だと判断しません。

参照配列のアクセッションと版、ヒットした位置、アミノ酸の一致率、qcovhsp、E-valueを記録します。約48.8 kbという長さだけではプラスミド由来と判定しません。ヒットがないことと、試料に遺伝子が存在しないことも区別します。

ゲノム上の候補の推定と、論文で行われた遺伝子導入による機能の実証を分けて考えます。